「紅型とともに歩む1年 2024年の取り組みを振り返って」

琉球の伝統を未来へ繋ぐ ~2024年の感謝と挑戦~

私たち城間びんがた工房は、琉球王朝時代から続く王族の染め物「びんがた」を守り続けてきた工房です。沖縄の地で育まれたこの染め物の文化を未来に伝えるべく、日々ものづくりに向き合っています。

2024年も、多くの挑戦と学びに満ちた1年となりました。この場をお借りして、今年の取り組みや挑戦、そして皆さまへの感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。


今年の取り組みと挑戦

文化イベント「祝いの布」展示会

私たちの祖父、城間栄喜が住んでいた場所を舞台に、6月と11月に開催した文化イベント「つなぐ想い」「祝いの布」展示会では、多くの方々に工房を訪れていただきました。

通常、私たち城間びんがた工房では、職人たちがものづくりに集中できる環境を大切にするため、日常的な工房見学はお断りしております。

しかし、このイベントでは特別に工房を公開し、紅型の魅力を直接お伝えする機会を設けました。工房見学を通じて紅型の魅力を直接お伝えできたこと、お客様からいただいた温かいお言葉は、職人たちにとって何よりの励みとなりました。

ポケモンとのコラボレーション「島つなぎ」

今年は全国の工芸家の中から選ばれ、株式会社ポケモンとのコラボレーション作品を手掛ける機会をいただきました。紅型とポケモンという異なる文化を融合させる挑戦は困難もありましたが、若い世代を含め、幅広い方々に紅型の魅力を知っていただく貴重な機会となりました。現在もこの作品は麻布台ヒルズギャラリーにて展示中です。

ものづくりの現場での変化

工房内では若い職人が増え、日々の制作現場にも新しい風が吹き込んでいます。新しい挑戦を取り入れながら、琉球文化を守りつつ未来へ繋げるものづくりに励む毎日です。


琉球文化への感謝と未来への決意

琉球の地は中国と日本という大国に挟まれながらも、小さな島国として独自の文化を生み出してきました。戦争の混乱の中で廃墟と化した首里の中でも琉球文化を守り抜いた祖父・城間栄喜、そして9歳から紅型を守り続けた父・城間栄順、さらに歴代の先輩職人たちの尽力があったからこそ、私たちの工房が今も続いています。

その思いを受け継ぎ、私たちはこれからも琉球文化を未来へ繋ぐため、工房全体で努力を重ねてまいります。


2024年の感謝を込めて

2024年も、皆さまの温かい応援とご支援のおかげで、多くの取り組みを実現することができました。新しい挑戦を通じて、工房として、そして職人一人ひとりとしても成長を遂げることができた1年でした。

どうぞ良いお年をお迎えください。2025年も引き続き城間びんがた工房をよろしくお願いいたします。

🌸 城間びんがた工房一同より感謝を込めて 🌸

城間栄市 プロフィール

  • 昭和52年 沖縄県に生まれる。城間びんがた工房15代 城間栄順の長男。
  • 平成15年(2003年) インドネシア・ジョグジャカルタ特別州にて2年間バティックを学ぶ。
  • 平成25年 沖展正会員に推挙。
  • 平成24年 西部工芸展 福岡市長賞 受賞。
  • 平成26年 西部工芸展 奨励賞 受賞。
  • 平成27年 日本工芸会新人賞を受賞し、正会員に推挙される。
  • 令和3年 西部工芸展 沖縄タイムス社賞 受賞。
  • 令和4年 MOA美術館岡田茂吉賞 大賞を受賞。
  • 令和5年 西部工芸展 西部支部長賞 受賞。
    • 「ポケモン工芸展」に出展。
    • 文化庁「日中韓芸術祭」に出展。
  • 令和6年 文化庁「技を極める」展に出展。

現在の役職

  • 城間びんがた工房 16代 代表
  • 日本工芸会 正会員
  • 沖展(沖縄タイムス社主催公募展)染色部門審査員
  • 沖縄県立芸術大学 非常勤講師
  • 沖縄大学 非常勤講師